産科・婦人科ヤナセクリニック
ヤナセクリニックは三重県津市にある産科・婦人科の医療機関です

<第一回 アロマセラピーと医療>

 アロマセラピー(Aromatherapy)とは、芳香をもつ植物(ハーブ)から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使用して、心身の健康をはかる植物療法の一種です。
アロマセラピーには、香りがもたらすリラックス効果やリフレッシュ効果、精油の使い方の一つであるマッサージによる癒しの効果、精油に含まれる様々な成分の薬効による心身の不調を治す効果があります。

 私が、アロマセラピーを医療のなかで取り入れようと思ったきっかけは、患者様にいかに満足のいく出産をしていただけるかを考えた時でした。
正常な出産は健康保険の対象ではなく、つまり、病気ではないということです。
そうなると、どうしても医者としては、産めればいい、赤ちゃんが元気であればいいと考えがちです。でも、女性にとって出産というのは、非常に大切なもので、私たちがいかに出産を手助けしてさしあげられるかが、その患者様の子育てやその後の生き方に深く影響すると思うのです。

 アロマセラピーを出産に取り入れてみると、香りによるリラックス効果、精油による和痛効果、そして、出産に立ち会うスタッフのアロママッサージによる和痛効果がありました。これは、痛み止めには変えられない効果があります。

 聖路加国際病院理事長の日野原重明先生は著書『生きかた上手』のなかでこう書いておられます。
「手のひらから患者さんのからだの声を聴き、眼差しや接する姿勢でこちらの思いを伝える。ことばは言うに及ばず、五感をフルに使う。これが医療者に求められるコミュニケーションだと思っています。目指すは、母親の、魔法のような手。どなたにも幼いころに覚えがあるでしょう。熱のある額にふれられただけで気分が楽になり、痛いはずのお腹をさすってもらうと痛みが薄れた。医療の原点は、この『手当て』にあります。コミュニケーションの力の源をここに感じずにはおれません。」

 私は、アロマセラピーはこれに通じるものがあると感じています。

                        (2002年9月17日掲載)
柳瀬幸子のアロマの話(アロマセラピー・アロマテラピー)
このコーナーは一ヶ月に一回くらいのペースでアロマセラピーに関わる様々な事を連載していく予定です。よろしくお願いします。
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